続 旅の徒然に・閑話休題
黒子 晃
ウイーンの中央墓地で
映画「第三の男」のラストシーンが印象的なウイーンの中央墓地のベンチで一休みしているところへ、ひょこひょこと現れた烏に彼女が呼びかけました。
「ひょっとしてあなたアントン・カラスさん?」
お後が宜しいようで・・・。
アムステルダムで
通りがかりに予約なしで入れる寿司屋を見つけ興味本位で入ってみました。
東洋人らしき客は一人も見えません。若者がほとんどで満席状態です。
どんなメニューが有ったか記憶が定かではありませんが、「TOFU」というのが大いに気になりました。さてお寿司にTOFUというネタは・・・?
どう考えてもわかりません。しばらく客席を眺めまわして「これかあ!」と食べている人を発見しました。
何と! それは「稲荷ずし」でした。
なるほどお稲荷さんの原料はお豆腐だったっけと納得したのでした。
ベルリンで
ビールといえばドイツは本場。ベルリンのデパートの食堂で「Berliner Weisse」というビールに遭遇しました。
当然琥珀色のものがビールの色と思っていましたが、なんと真っ赤や真っ青、緑色と鮮やかなものです。
飲んでみればまぎれもなく味はビールです。つまりアルコール入りのソーダ水なのでした。
バンベルクで
こちらでまた変わったビールを見つけました。「Rauchbier」ラオッホビールという燻製ビールです。ひと口飲んで「こりゃつまみは要らないや」と思いました。
この燻製ビールを、普通に焼いたソーセージをつまみに飲むのと、
普通のラガービールを、燻製のソーセージをつまみに飲むのと
どう違うのか・・・。試して見れば良かったなあ。
サンクトペテルブルグで
日本では紅茶にジャムを落とし入れる「ロシアンティー」が有るのを思い出してガイドさんに聞きました。
「そんな飲み方をするロシア人はいませんよ」という返事です。
ハハア、ハンブルグにハンバーグは無い、ウイーンにはウインナコーヒーは無い、ナポリにはスパゲッティナポリタンは無いのと同じことかと、無理やり納得。
ちなみに現地では、ハンバーグはFurikadelle、ウインナコーヒーはアインシュペナーと言い、何と!スパゲッティナポリタンは1927年に横浜のホテルニューグランドで初めて提供された日本発祥のメニューなのだそうです。
ウイーンで
ウイーンにはウインナコーヒーは無いと言いましたが、アインシュペナーとかメランジェとかカプツィナーとかいうのがホイップクリームを入れて飲むコーヒーで、チョコレートケーキとセットで注文するのが定番のようです。
海外では黙っていて水を持ってくることはほとんどありませんが、このチョコレートケーキ(ザッハートルテ)のセットには水が付いてきます。そして水のコップの上にスプーンを渡し乗せ、小さなトレイに載せて持ってきます。
このスプーンをコップに乗せた姿がユニークで面白い。CafeSacherだけのマナーではなさそうで、これがウイーン風なのかもしれません。
チョコレートケーキはSacherTorteとの名前のとおり
Sacher(ザッハー)が有名ですがDemel(デーメル)も負けていないようです。
食べ比べて見ましたがその差は私には分かりませんでした。
お土産にするにはDemelならあちこちに売店があるので簡単に手に入ります。
しかし持ち帰って食べるよりは、やはり現地でスプーンをコップに乗せたメランジェとのセットで楽しむのがベストのようです。
ナポリのレストランで
マリオ・デ・ステファーノというテノールおじさんの歌を聴きながらのディナーで、私のお気に入りのナポリターナ「カタリ・カタリ」のイントロが流れたので、口を動かしたのを目ざとく見つけて、ステージに引っ張り上げられて歌わされる羽目に陥りました。
家内はまさかの展開に唖然としていたが、同行の友に「ほら!カメラ、カメラ!」と慌てて撮らされたのがこの写真です。
真正面の席の女優千秋さん似の可愛い娘ちゃんYOUが、ビックリシターと固まっていたのが瞼に残っています。
カンターレ(歌え)・マンジャーレ(食べよ)と大いに楽しみ、
「ブラヴォ・ブラヴィッシモ」の拍手に送られて上機嫌で帰途に就く酔っ払いでした。
ナポリの美術館で
潮の加減が具合悪く青の洞窟に入れなかった代わりにと案内された「考古学博物館」が私にとっては大当たり!
大分前に気に入って購入保有していた人造大理石製のレプリカ「カリピュゴスのヴィーナス(美尻のヴィーナス)」の本物に出会えたのです。
本物はさすがに豊満なお尻が見事な傑作でした。レプリカはちょっと痩せ過ぎのようです。
ボルゲーゼ美術館で
ナポリ考古学博物館と同じことがもう一つ。ベルニーニ作「アポロンとダフネ』の本物がローマのボルゲーゼ美術館にありました。
普通は本物に接し感激してレプリカをお土産に買って帰るというパターンだと思うのですが、私の場合は持っているレプリカの本物に、後から出会うという逆のケースなのでした。
それにしても「アポロンとダフネ」は3mに迫る大きさでその迫力に圧倒されました。
プロセルピナの略奪と対のように展示されていました。
ボルゲーゼ美術館は規模こそさほど大きくありませんが、ベルニーニの傑作以外にも素晴らしい収蔵品も多く、カラヴァッジォの「ゴリアテの首を持つダビデ」もここにありました。
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